後悔しない腕時計の選び方-スウォッチグループ1-

後悔しない腕時計の選び方-スウォッチグループ1-

後悔しない腕時計の選び方。

今回からは国内を飛び出し、いよいよ海外ブランドを見てまいります。

今回からご紹介するのは、今や一大時計ブランドグループとなった、

「スウォッチ(SWATCH)グループです」

スウォッチ(SWATCH)グループの歴史

スウォッチ(SWATCH)グループは、現在、世界最大の時計製造グループです。
前身となるのはSSIHとASUAGという2つの組織。

その後クオーツショックにより2つの組織は再編を余儀なくされます。

そこで立ち上がったのが、スウォッチ(SWATCH)グループ創始者でもあり、
世界初のウォッチランドマークとして銀座に立つ、
ニコラス・ハイエック・センターの名前の由来ともなった、
故ニコラス・G・ハイエック氏が、クォーツショックにより衰退の一途をたどっていた、
スイス時計産業を再興させるべく、4年の歳月を掛けて1983年、
SMHグループを誕生させます。

その後、1998年に一世を風靡したスウォッチ(SWATCH)を新社名に冠し、
現在のスウォッチ(SWATCH)グループに名称を変更しました。

元はスイスの時計産業を中心としていましたが、
現在はドイツの時計ブランドも手中に収めています。

スウォッチ(SWATCH)グループが何故世界最大と言われるのか

何故世界最大の時計グループと呼ばれるのか、それにはムーブメントメーカー「ETA社」と
エボーシュと呼ぶスイスならではの時計製造が関係しています。

世界最大のムーブメントメーカー「ETA」

スイスは日本とは違い、ムーブメントを専門に作る会社が昔から多く存在していました。
合同や提携、そして経営統合や吸収合併を繰り返し、
やがてETAの前身となる企業連合が誕生します。
この段階でもスイス時計産業に多くのムーブメントを提供する巨大勢力を築き上げていました。

しかし、スイス時計産業はその後、クォーツショックの大打撃により、
ムーブメント会社も多くが倒産、再編を迫られ、
その技術の多くが失われる事となるのは再三、当記事でも紹介した通り。

そんな中、老舗ムーブメントメーカーであったETAの企業連合も何とか生き残りの道を辿ります。
一時期はクオーツムーブメントを製造する等、苦渋の決断を幾度となく迫られてはいますが、
協力開発を行ったスウォッチ(SWATCH)の台頭、自動巻き機構の開発により、
何とか息を吹き返し、1982年には正式に現在とほぼ同じ体制のETA社が誕生。
その後、スイス時計産業、そして高級腕時計や機械式腕時計が再注目される事により、
1990年代にはスウォッチ(SWATCH)グループの事業の中核を成すまでに成長します。

半完成品ムーブメント、エボーシュの圧倒的供給率

まず、エボーシュの説明から致します。
多少専門的になってしまうので、読み飛ばして頂いても構いません。

エボーシュは、簡単に言ってしまうと、
半完成品のムーブメント及びそれを供給する会社の総称です。
本来は供給する会社をエボーシュと呼んでいたのですが、
今では半完成品のムーブメントの事もエボーシュと呼ぶ様になりました。

要はエボーシュは、時計の機能自体は出来上がっていますが、細かな調整や、細部の部品、
装飾等が行われていない状態のムーブメントという事になります。
それを受け取った会社側が、更に精度を高めたり、改造して機能を追加したり、
装飾を施して、見ても楽しめるムーブメントに仕上げていき、腕時計として完成させるのです。

元々の歴史を辿ると判るとおり、ETA自体が数多くのムーブメント会社の集合体であり、
それぞれの会社の技術をも吸収している為、ムーブメントの完成度が極めて高いのです。
また、スイス時計産業は、技術の提供を惜しみなく他社にもする風習が昔からあり、
国もそれに対する支援を惜しみなかった事から、技術力は確かなものがあります。

90年代にはスイス時計産業のほぼ8割のシェアを占めていたのですから、
それだけ信頼性が高く、また汎用性も高いエボーシュを作っていたワケです。

ETAのエボーシュ供給停止問題

腕時計に興味が全くなかった方には、全く持って何の話か分からない事ですが、
スイス時計産業だけでなく、
世界の時計産業に大きな変革をもたらす問題がこのエボーシュ供給停止問題です。

上記で解説した通り、一時は8割近い供給率を誇っていたETAのエボーシュですが、
勿論ETA社はスウォッチ(SWATCH)グループの会社でもあるワケです。

完成度が高く、汎用性も高く、何より安価であったETAのエボーシュが、
徐々に自社グループブランドの首を絞め始めていたのは想像に難くありません。
昨今勢いのある自社ブランド
「OMEGA(オメガ)」や「LONGINES(ロンジン)」の勢いを止め兼ねません。
何せ、自社の時計と匹敵するか、それ以上に迫る勢いで、
ETAのエボーシュを使った他社ブランドの売り上げはかなりのものだからです。

どこまで事実かの判断は極めて難しいですが、
故ニコラス・ハイエック氏は、このままETAのエボーシュを他社に提供し続ければ、
各スイス時計会社が、ETAのエボーシュに余りにも頼り過ぎており、
スイス時計産業全体の技術力がやがて衰え、
ひいては過去のクオーツショックの様な事態を招きかねないと思案したとも言われています。

また、スイス産の自動巻き式時計はETAのエボーシュでなくても、
スイス国内の生産で且つ、安価で作れるという事を体現した時計
「SWATCH51」を発売する等、他社への警鐘を依然として続けています。

ただ、これは非常に皮肉な事ですが、ETAのエボーシュの供給率の高さがあったからこそ、
今のスイス時計産業は復興したと言っても過言ではありません。
多くのブランドが同じベースムーブメントを使っていれば、
そのベースムーブメントを扱える事さえ職人が出来れば、
それだけ多くのブランドの時計を扱える事にも繋がるからです。
つまり、オーバーホール(修理)や改良の際に、
より品質の高い製品が出来上がる事に直結するのです。

当初の予定では2006年を持って完全にETAのエボーシュは
スウォッチ(SWATCH)グループ以外のブランドに供給を停止する予定でしたが、
スイス時計産業やスイス国自身の反対にもあい、
2020年までは段階的に供給量を減らし、
2020年には完全に供給停止という事に落ち着きました。

一応これは現段階で確定している事ではありますが、本当に2020年にエボーシュの供給が停止された場合、
スイス時計産業はどうなっていくのかは、本当に未知数です。
開発力のある大手や、昨今注目度の高い新興時計会社は、
一早く自社でのムーブメント製造に漕ぎ着けてはいますが、
自社でムーブメントを製造するには膨大な時間と莫大な費用が掛かる事は言うまでもありません。

スウォッチ(SWATCH)グループの輝かしいブランドの数々

スウォッチ(SWATCH)グループには今や有名ブランドが数多く集結しています。

時計史上に燦然と輝くブランドも多く、技術力だけでなく、人気も高いブランドも多いです。
有名ブランドも多く、どれもが特徴的なのでちょっとした解説も付けます。

  • Breguet(ブレゲ)
    言わずと知れた超高級時計の老舗ブランド。
    トレードマークは勿論、先端に丸がついた針。
  • GLASHÜTTE ORIGINAL(グラスヒュッテ・オリジナル)
    暗い過去を背負ったドイツの老舗時計ブランド
    紆余曲折あったが、今は独自路線を開拓。
  • OMEGA(オメガ)
    今やスウォッチ(SWATCH)グループを牽引する人気ブランドの1つ。
    オリンピックの公式タイムキーパーや007シリーズへの時計供給等も。
    革新的発明の脱進機を紹介するのが今から楽しみです。
  • BLANCPAIN(ブランパン)
    スイスでも最古の機械式時計ブランド。
    精悍で美しいスポーツウォッチはあまりにも有名。
  • JAQUET DROZ(ジャケドロー)
    天才時計師、ピエール・ジャケ・ドローの名を冠したブランド。
    オートマタの技術を現代に復活させた功績は大きい。
    実はアジア圏との繋がりが非常に深い。
  • Harry Winston(ハリー・ウィンストン)
    ジュエリーで有名なブランドですが、
    宝飾時計や機械式腕時計も数多く製造しています。
    その中でもOpusシリーズは面白い時計です。
  • LONGINES(ロンジン)
    老舗ブランドであり、人気ブランドの1つでもあります。
    機械式腕時計だけでなくクオーツ式腕時計も作る等、
    確かな技術力も見逃せません。
  • RADO(ラドー)
    手頃な価格帯ながら高性能且つ、使いやすい時計が魅力。
    セラミックスに異様な拘りがあり、硬度で考えれば他社の追随を許さない。
    ダイアマスターがその筆頭であり、時計としての完成度は高い。
  • TISSOT(ティソ)
    機械式腕時計からクオーツ式腕時計まで幅広く揃える。
    T-タッチエキスパートソーラーで独自路線も開拓。
    その使い心地は、慣れると他の時計に戻れない程。
  • MIDO(ミドー)
    低価格帯ながら、しっかりとした品質を保つスイスの老舗ブランド。
    バロンチェッリは名作であり、3針時計の完成形の1つ。
    コスパを考えた際にはまず名前があがるブランドの筆頭。
  • HAMILTON(ハミルトン)
    数奇な運命を辿ったアメリカの時計ブランド。
    ジャズマスターとベンチュラは形だけでも知っている方は多いのでは?
    007の時計として使われた事も。
  • SWATCH(スウォッチ)
    言わずと知れた業界の革命ブランド。
    セカンド・ウォッチをテーマに、気軽に使える時計を目指している。
    遊び心溢れるデザインは、若者を中心に爆発的人気を誇った。

まとめ

  • 世界最大とも言えるエボーシュメーカー「ETA」を抱える。
  • ブランドには有名・人気ブランドを多数抱える。
  • 業界の革命児であり、スイス時計産業の中心とも言える影響力の高さ

今回はスウォッチ(SWATCH)グループの歴史やETA社を中心にお届けしました。
やはり海外時計ブランドを語るにはスウォッチ(SWATCH)グループは外せません。

各ブランドの紹介は次回から始まります。
次回お届けするのはやはりグループ名にもなっている「SWATCH」
安価で正確で、オシャレな時計を。
今でもその情熱は何一つ失われていません。

腕時計カテゴリの最新記事