後悔しない腕時計の選び方-機械式腕時計をもっと知る3-

後悔しない腕時計の選び方-機械式腕時計をもっと知る3-

前回までは機械式腕時計の魅力を存分にお伝えしました。

今回は、機械式腕時計を購入する上で、知っておきたい欠点を解説致します。

機械式腕時計の欠点

初めて機械式腕時計を購入しようかと検討していらっしゃる方には、
文章を読む前に予め覚悟していただきたい事があります。

それは、クオーツ式腕時計と比べると、欠点が

圧倒的に多い

事です。
しかし、機械式腕時計と上手に付き合う為には、知っておいて損はありません。

正確さは圧倒的に劣る

クオーツ式腕時計は月差±15秒程ですが、
機械式腕時計は日差±45秒程になります。

仮に機械式腕時計を月差で考えると、極端な話ではありますが、
月差±22分程と算出出来ます。

月差±15秒と月差±22分では比べるまでもありません。
勿論、これはあくまで仮定の話で、実際はより複雑ですが、
1日に1回、時間合わせをする方が無難です。

極めて正確な機械式腕時計もあるにはあるが・・・

勿論、機械式腕時計の中には、神業の様な調整が施された機械式腕時計も存在します。
それ等機械式腕時計の多くは

「クロノメーター規格」

に合格しており、時計に表記する事が可能です。
その基準は日差-4秒から+6秒以内と極めて厳しく、
この規格を取得している殆どの時計が高級時計と呼ばれる類です。

ブランドとしては「ロレックス」の時計が最も多く、
次いで「オメガ」「ブライトリング」と続きます。

世界でただ1つの正確な機械式腕時計「スプリングドライブ」

セイコーのトップブランド「グランドセイコー」には、
世界でも唯一無二の機械式腕時計ムーブメント

「スプリングドライブ」

が存在します。

この機械式腕時計は、何と機械式腕時計とクオーツ式腕時計のハイブリッド。
正確性はクオーツ式腕時計並みに高く、それ以外はほぼ機械式腕時計と同じという、
それぞれの長所を融合させた機械式腕時計なのです。

正確性は月差±15秒。精度は紛れもなくクオーツ式腕時計そのものです。
スプリングドライブの特徴はもう1つ、秒針が滑らかに動く「スイープ運針」が挙げられます。

クオーツ式腕時計でも、スイープ運針の腕時計はありますが、
1秒間に16~20回近く細かく秒針を動かして、滑らかに動いている様に「見せて」います。

スプリングドライブのスイープ運針は紛れもなく「滑らか」なのです。
これは是非、動画等ではなく、実物を見ていただきたいです。

帯磁に弱い

クオーツ式腕時計の記事でも触れましたが、
現代社会では、日常生活を送る上で様々な磁気に晒されています。

スマートフォンのスピーカーやバイブレーター部、
PCやテレビ等のスピーカー全般、
バッグの留め口にある磁石、
冷蔵庫の扉、
電気シェーバー、
ACアダプター、
etc………………

磁気を発生する物から遠ざけてしまえば、
基本的に再び正確に動き出すクオーツ式腕時計と違い、
基本的にほぼ全てが金属部品で出来ている機械式腕時計は、
この帯磁が致命傷になりかねません。

ただでさえ、正確性が低い機械式腕時計の正確性が更に下がる危険性もあり、
最悪の場合は各部品に磁気が広がり、致命的ダメージを受ける可能性も否定出来ません。
特に、調速機に使われる「ひげぜんまい」は帯磁に非常に弱く、
正確性が著しく下がる原因を生み出してしまいます。

また、帯磁は基本的に「磁気抜き」をしない限りはずっと帯磁し続ける為、
最悪の場合は壊れるまで気付かない恐れもあります。

磁気抜きに関しては、一部時計店で行って貰えます。

勿論、帯磁に強い時計もあります

帯磁は長年、機械式腕時計の天敵と考えられており、
勿論メーカーやブランドも手をこまねいていたワケではありません。

真っ先に対策打ったのは老舗ブランド「パテックフィリップ」

ヒゲゼンマイに非金属素材であるシリコンの一種を採用し、
帯磁そのものを防ぐ事に成功しました。
今では、ヒゲゼンマイだけでなく、脱進機のガンギ車にまでシリコンを採用したりと、
帯磁に対してかなり真剣に力を入れています。

今や007シリーズではおなじみとなった「オメガ」も、
帯磁に対して本腰を入れているブランド。

こちらはオメガが世界で初めて量産化に成功した新しい技術
「コーアクシャル脱進機」も搭載されています。
帯磁に強いだけでなく、正確性も高い。
更に高級腕時計としては手の届きやすい価格帯と、人気が高いのも頷けます。

他にも「ブレゲ」や「ロレックス」、「ゼニス」、昨今注目度の高い「チュードル」等、
今では多くのブランドが帯磁に対してなんらかの対策を打つ様になりました。
機械式腕時計が帯磁を気にしなくて良くなる日も近いかもしれません。

振動に極めて弱い!!!

当たり前と言えば当たり前の話です。
何故ならあんなにも小さい空間に数十~数百の部品が所狭しと組み合わさり、
カチカチと本当に小さな音を立てながら一生懸命時を刻んでいるのですから。

落としたりすれば、あっさり壊れてしまう可能性は常にあります。
極端な話、それを心配して夜も眠れないくらいになってしまうなら、
Gショックが精神的に一番良いと思います。

これなんて、通称「鎧」と呼ばれる程、
Gショックで最も堅牢且つ、最も高性能な腕時計です。
もう壊せるものなら壊してみろというカシオの本気を感じさせる一品ですね。

閑話休題。
腕時計は、機械式、クオーツ式問わず、丁寧に扱ってあげる事を大前提にした方が無難です。

ぜんまいを巻かなければ止まる

機械式腕時計は例外なく、ぜんまいが巻かれ、そのぜんまいが解ける力を利用して針を動かします。
つまり、逆に考えればぜんまいが巻かれていなければ何も出来ないのです。

価格帯にもよりますが、代表的な機械式腕時計の最大パワーリザーブ(駆動時間)は、
ぜんまいを最大限まで巻いて42時間程が基本です。
つまり、丸2日は持たないワケです。

それを防ぐ為に、手に身に着けてさえいれば自動的にぜんまいが巻かれる「自動巻き」や、
家にいる間もぜんまいを巻き続ける為の機械「ワインディングマシン(ウォッチワインダー)」
などがあるワケですが、
やはり、クオーツ式腕時計と比べるとかなり煩わしい事は否めません。

価格と維持費

こればかりはどうしようもない事です。
諦めてくださいとしか言い様がありません。

というのは冗談です。

ただ、確かにクオーツ式腕時計と比べるとやはり圧倒的に高いです。
宝飾時計や限定モデルでもない限り、
クオーツ式腕時計で100万円を超える価格帯の時計はほぼ存在しません。

しかし、機械式腕時計は天井知らず。
オークションでは名優ポールニューマンが所有していた
ロレックスのデイトナが20億円で落札された事も記憶に新しいです。

また、価格だけでなく維持費もクオーツ式腕時計と比べると雲泥の差です。
どちらかと言うと、価格よりもこの維持費の方が重要だと思います。

何故なら、機械式腕時計は、修理さえすれば数十年と使い続ける事が出来るからです。
今後、この維持費を払ってまでこの時計を持ち続けたいのか。
機械式腕時計を購入する際には、その時の価格だけでなく、
維持費を払い続けられるかも購入時の決め手になってきます。

愛せるか否かそれが機械式腕時計を購入する大きな分かれ目

合理的に考えれば、機械式腕時計を購入する理由は全くありません。
不正確で、
価格も維持費も高く、
壊れやすく、
帯磁もしやすく、
ぜんまいを巻かないと動かない。

こんなにも手間が掛かる腕時計を必要に思う方がどうかしているかもしれません。
クオーツ式腕時計を買った方が、買ってすぐ使えますし、
2~3年は何不自由なく動きますし、壊れる心配も少ないです。

ですが、一度機械式腕時計を手に取り、身に付け、眺めると、
手間や煩わしさ、そして金額等とはまた別の何かを感じる事があるかもしれません。
それが感じられたら、機械式腕時計の購入を検討されては如何でしょうか。

また、この記事を見て、初めて何かしらの腕時計を買った方が、
今後、沢山の腕時計と出会い、触れ合っていくうち、こう思う日が来るかもしれません。

「機械式腕時計はただ高いだけではない」

もし、そう思い、機械式腕時計を購入したいなと考え始めた際は、
自分が思うより、もう少しだけ高い時計もご覧になってみてください。
機械式腕時計は価格も天井知らずですが、その魅力も天井知らずです。
決して安くない買い物なので、色んな時計をご覧になる事を強くオススメします。

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